『いじめ』は感染する。2学期。今現在
長くて短い夏休みを終え、小学3年生の2学期が始まった。
私は、バイトを辞め、家で出来る内職をする事にして、息子の様子を見ていた。
運動会の練習が始まり、息子が家に帰って来て
「見てて、運動会の踊り、殆ど覚えたよ。」
と途中まで見せてくれた。
「この後、忘れちゃった。音楽が有れば思い出すんだけどな〜。」
(うん。うん。それ分かる。)
(時間が空いて、いじめは収まったのかな?。)
と甘く考えていた。
運動会が終わり、振替休日の次の日。
学校から帰って来た息子が
「僕はいじめられキャラなのかなぁ?」
と言った。
「何かあったの?。」
と聞いた。
1学期の息子は、一生懸命にいじめられている事を隠そうとしていたから、私は知ら無かった振りをして聞いた。
息子が話し始めた。
「蹴られるんだ。」
「えっ?。」
「いつも足とかお尻を蹴られる。」
「誰に?。」
「◯◯君に、いつも蹴られるんだ。◯◯君は空手を習ってるから痛いんだ。」
「えっ?。他にどんな事される?。」
「首を絞められる。」
「えっ?。」
「でも、首は本気じゃ無いと思う。苦しかったけど、本気でやったら息出来ないと思うから。」
詳しく聞くと、向かい合った姿勢(はす前に立つ感じかな)で、親指で首の前部分を押さえられる形だ。
「首を絞められた形をママにやってみて。」
と息子に言う。
「こんな感じ。」
と息子が軽く私にやってみる。
大人の私が小3の息子に軽く押さえられただけでも少し苦しい。
「いつ頃から?。」
「3年生になってから結構すぐ。
6月くらいからなかぁ?。」
と答えた。
(『いじめ」自体はもっと前からだって知ってるぞ・・。)と思う。
「始めは△△君と一緒だったと言うか・・。△△君にいっぱい蹴られたりしてたけど、最近は◯◯君が殆どで、△△君はあまりしなくなった。」
「ちゃんと『やめて!。』と強く言ってる?。」
「言ってるよ!。でもやめてくれ無い。」
「やり返したりするの?。」
「しない。だって◯◯君は空手を習ってるんだよ!。やり返したら、もっとやられるじゃん。」
「他にもある?。」
「トイレでズボンを脱がされたりする。」
「他には?。」
「鉛筆削りとか、✖︎✖︎ちゃんに物を隠されたりする。 ゴメンね。鉛筆削り、☆☆君が投げて壊した。」
「それとね・・縄跳び・・。」
運動会後、学校で『縄跳び週間』が初まるため、息子は前の週に縄跳びを学校に持って行き、置いてきていた。
「朝、学校に行ったら、壊された縄跳びが机の上に乗ってた。」
これは、誰が壊したか分からない。
息子が持って帰った壊れた縄跳びは、買ったばかりだったのでヒモ部分はピカピカだった。持つ部分が壊れ、その中の部品は無くなっていた。
クラスの様子を聞いてみた。
「普通に話してくれるのは2人だけ。あと2人くらい、たまに話す。」
(・・何だそれ!。)
「あとは、『話さないで』って雰囲気で話せない。」
と言う。
(まぁ、いじめられて無くても、そんなに話さない子も居るだろうが・・ダメだ、こりゃ。学校に連絡しよう。)
(それと、息子からも・・。ちゃんと自分で先生に言える様にしないと。)
「先生は知ってると思う?。」
と息子に聞いた。
「知らないと思う。知ってたら注意してくれるでしょ。」
「まず、自分で先生に話してみなさい。」
と息子に言った。
「先生が注意しても止めてくれなかったらどうしよう。」
と息子が言った。
「大丈夫。ママも先生に言うから。」
と答えた。
(とは言ったものの、あの担任は当てにならない。)
(前に学校保護者の係で、副校長先生と会う機会が多かった。副校長先生は、気さくな感じで、口調は優しいがフットワークが軽く、行動力がある方だと思う。イイ人だし、私から副校長先生に話そう。)
「ズボンを脱がされた事は、恥ずかしいから言わないで。」
と息子に言われた。
その夜、息子が寝た後でランドセルの中を調べてみた。
ノートに、1学期には無かったイタズラ書きがあった。
黒マジックで『ゴキブリ』『うんこ」など・・。
他にもあった。
本来なら、先生に提出するはずの『読書の記録』。
これは、色付き画用紙を2つ折りにしたもので、その間に自分が読んだ本のタイトルなどを書き込む紙を貼っていく。
本のタイトルは、1つも書いて無かった。
勿論、先生が見た形跡もない。
先生は配りっ放しで、提出されなければ それまで・・と言う感じだろう。
提出できない子がいるかも・・とは思わないのだろう。
表紙にはクマが本を持ってる様な絵が印刷されている。
問題は、ここからだ。
クマの周りには、水色のボールペンで炎の様な絵が書いてある。
そこに矢印がひっぱってあり、『友だち いない オーラ』と書いてあった。
その夜、主人に話した。
勿論、1学期にも『いじめ』について話した事もある。
主人は、
「息子は、もっと強く反抗しないからやられるんだ。やられたら、やり返すくらい出来ないとダメだ!。」
と言う。
「武道を習わせよう。それで心身ともに鍛えないとダメだ。それで自信を着けさせよう。」
と言っていた。
(言いたい事は分かるが・・。蹴って来るのが空手だぞ・・。運動音痴の息子だしな〜。「練習だ〜」とか言われて、余計にやられるんじゃないか?。)などの不安がよぎる。
私は
「学校に連絡する。」
と言った。
学校から帰った息子に、
「先生に言ってみた?。」
と聞いた。
「言えなかった。」
と答えが返って来た。
「先生に言いにくかったら、保健室に来るスクールカウンセラーさんに言いなさい。」
と言った。
そして、
「今日は、足を蹴られたり、首を絞められたりしなかった?。」
と聞いてみた。
「今日は お尻を蹴られただけ。」
と返事が返って来た。
息子は、先生にもカウンセラーさんにも言えなかった。
週明け、私は副校長先生に連絡した。